さくらインテリーズ
早川書房
戸梶圭太
ISBN 4152085126
俺らは社会の犠牲者だ!
偉いんだ!
だから何してもいいんだ!!
三日やったらやめられない?
自業自得型ホームレスの禁断の世界!
知的ホームレス集団〈さくらインテリーズ〉
高木伸二(49歳)
−元中学校教諭。未成年者を買春して解雇され、現在ホームレス
鳥越隆康(46歳)
−元図書館司書。ストーカー行為が露見して解雇され、現在ホームレス
藤森真一(53歳)
−元考古学者。発掘した遺跡が捏造だったことが発覚し、現在ホームレス
「こういう生活をしていて、一番つらいのは・・・」
元さいたま市役所の職員である山根晴也は、皮膚のがさがさに
なった自分の手を痩せこけて無精ひげに覆われた頬に押し当てて、ぼそっと言った。
「やっぱり歯医者にかかれないことだなぁ」
「歯医者にかかるほどいい物食ってないだろう」
元中学校教師の高木伸二は眼鏡を上げ、痒い目を擦りながら苦笑した。
彼の黒縁眼鏡の左側のレンズには、小さな亀裂があった。
「治療の最中だったんだよ」
山根はそう言うと、ところどころほつれた、汚れたダウンジャケットのポケットから
アコムのポケットティッシュを取り出し、いかにも大切そうに一枚抜いた。
そしてそれを実に丁寧に四つ折りにすると、皮の剥けた唇をこじ開け、
ねずみのような面をして前歯をティッシュペーパーでごしごしと擦った。
そんなことをして何になるのかわからないが、だからといって
高木は敢えて理由など聞かない。
(本文より)
■著者紹介
戸梶 圭太
1968年東京生まれ。
学習院大学文学部卒。
98年『闇の楽園』で第3回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞して作家デビュー。
さくらインテリーズ 早川書房 戸梶圭太
1400円(税別)
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