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クレーの絵本
詩画集
講談社
谷川俊太郎
ISBN4062078244
響きあう絵とことばのおくりもの
40点の絵と
14編の詩が奏でる二重奏!
忘れっぽい天使
くりかえすこと くりかえしくりかえすこと
そこにあらわれてくるものに ささえられ
きえさっていくものに いらだっていきてきた
わすれっぽいてんしがともだち
かれはほほえみながらうらぎり
すぐそよかぜにまぎれたしまううたでなぐさめる
ああ、そうだったのかと すべてがふにおちて
しんでゆくことができるだろうか
さわやかなあきらめのうちに あるはれたあさ
ありたちはきぜわしくゆききし
かなたのうみでいるかどもははねまわる
魂の住む絵
クレーの絵に現れているものは、私たちがふだん目にしているものとは
違う。たしかにそこには文字や人のかたちや植物らしきものが描かれて
はいるが、それを言葉にしようとすると私たちはためらう。
言葉で彼の絵をなぞることは出来ないと私たちは思う。
クレーは言葉よりもっと奥深くをみつめている。
それらは言葉になる以前のイメージ、あるいは世界に住むことが出来る
のは肉体ではない、精神でもない、魂だ。クレーの絵は抽象ではない。
抽象画には精神は住めても魂は住めない。言葉でなぞることは出来ない
のに、クレーの絵は私たちから具体的な言葉を引き出す力をもっている。
若いころから私は彼の絵にうながされて詩を書いてきた。
ちょうどモーツアルトの音楽にうながされそうしてきたように。
「詩」は言葉のうちにあるよりももっと明瞭に、ある種の音楽、
ある種の絵のうちにひそんでいる。そう私たちに感じさせるものは
いったい何か、それは解くことの出来ない謎だ。
谷川俊太郎(本書より抜粋)
クレーの絵本 詩画集 講談社 谷川俊太郎
1500円(税別)
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