GMO 上巻
新潮社
服部真澄
ISBN 410461601X
「食」の危機
人類は未曾有の時代に直面している!
遺伝子組換え作物の未来を問う、衝撃のエンターテイメント!
除草剤でも枯れないコーンや大豆。カレイの遺伝子持を持つジャガイモ。
しかし、それはほんの「序曲」に過ぎなかった。
“神の手”を自在に操る巨大企業とワインビジネスの闇、
優雅なるセレブたちの光と翳、
北米アナポリスの放火殺人と南米ボリヴィアの奥地。
すべての仄かな点と線が結びついた時、醜悪なる「真実」が現れる!!
第1章
ぼくは、気がつくと、ある日のことを始終、考えている。
ワインが焼けて、アダムが死んだ日のことだ。
アダムとは、ときどき朝食をともにすることにしていた。
仲間というよりも悪友に近い仲で、顔を合わせてもたいした
話があるわけではない。お互いのプライバシーに踏み込んだ
こともなかった。自分の得意とする分野の情報を交換する
程度だ。アダムはボートを上手にあやつり町のことをよく知っていた。
居心地のいい隠れ家のゆうなフィンの店を教えてくれたのは、
土地っ子のアダムだ。いつも、ぼくが勘定を持つ。
たかが朝食にすぎないが、当然のことだ。
年長者の対面である。約束の時間に、二十分近く遅れていた。
ひどい朝だった。車を降りて歩き出すと、耳の端を、風が
唸って通り過ぎた。空は、わずかに白みかけていたが、太陽
のありかが朧で、街燈がまだついている。一晩じゅう荒れた
風はおさまりきらず、重い梢がうねり、泣き出しそうな朝の
空にざわめいていた。
(本書本文第1章より)
■著者紹介
服部真澄(はっとり ますみ)
一九六一年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、
編集制作会社勤務、フリー・エディターを経て作家に。
九五年、デビュー作『龍の契り』が直木賞候補となり、
九七年、第二作『鷲の奢り』で吉川英治文学新人賞を受賞。
ほかに『ディール・メイカー』『バカラ』
『骨董市で家を買う−ハットリ邸古民家新築プロジェクト』などがある。
GMO 上巻 新潮社 服部真澄
GMO 下巻 新潮社 服部真澄
1600円(税別)
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