痴呆病棟
小学館
江川晴
ISBN 4093874042
医療小説の第一人者・江川晴が高齢化社会に向けて送る「応援歌」
私、湯浅マキが息子夫婦にドライブに誘われ、
ウキウキ出かけた先はなんと痴呆病棟だった・・・
理想的な医療を目指す院長や看護部長と個性豊かな患者たちが
繰り広げるユーモアとペーソスに溢れる物語。
ときどき痴呆の出る元眼科医の湯浅マキ(76歳)が息子夫婦
にドライブに誘われウキウキ出かけてみたら、連れていかれた
のは老人病院の痴呆病棟。
何度も病院からの脱出を企てるが、看護師に見破られる。
ときどきふつうの状態に戻るのを幸いに、看護師や入院患者たち
の日々を観察し始めた彼女の目を通して痴呆病棟の内情が描かれる。
《第一章 ユートピア病院さくら病棟》
私、湯浅マキは今年七十六歳、夫を七年前に亡くしたとはいえ、
どうしてどうして元気ハツラツたるものと、日ごろから自負していた。
ところが歳は争えないもの、近ごろ急に物忘れがひどくなってきちゃったのである。
今日も朝から嫁のタカ子が、離れの私の部屋にノックもせずに
入ってきて、「お姑さん、玄関の花瓶の脇にお財布が置き忘れてありましたわヨ」
うす笑いを浮かべながら、これ見よがしに私の革の財布を持ってきた。
実は私も、ゆうべから財布がどこを捜しても見つからないので、
「わたしの財布、どこかで見かけなかったかい?」
と、よほどタカ子に聞いてみようと思っていたのだが・・・。
(本文より)
目次
第一章 ユートピア病院さくら病棟
第二章 個性豊かな患者たち
第三章 痴呆症の特効薬
終章
痴呆病棟 小学館 江川晴
1300円(税別)
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