7days in BALI

7days in BALI
セブンデイズ・イン・バリ
筑摩書房 田口ランディ
 

7days in BALI
セブンデイズ・イン・バリ

筑摩書房
田口ランディ
ISBN 9784480803672

失踪した友人から届いた三枚の絵葉書が、
<私>をバリの奥深くへと導く
「シは有限の極み。上のドは無の世界。知覚できないものの世界をガムランが開く」
宗教と音楽とむせかえるような自然。
不思議な成年オダ。
「ニュピ」にはミツコに会えるかもしれないという
謎の言葉の意味は・・・・・・・・・・?

「ねえ、マホ。音楽には秘密がいっぱい」
ミツコは私に謎をかける。
「音として感じるできるし、記号として理解することもできる。
音楽の意味はたくさんある。そのことがわかったの」
私はどう答えていいのかわからない。
「音楽は、エネルギーだし、言葉だし、乗り物なの」
(本文より)

光も、物体も、私という肉体の感覚もなかった。
私はただの思念になって、そこを漂っている。
そうなってみると、いったい私は何者なのかわからなかった。
ここには自分を相対化するものは何もないのだ。
そこに、ときおり、小さな乱れた磁場が現れては消えた。
その磁場は少しずつ強くなり私を捉え始めた。
私はなにかに捉えられて存在を強いられている。
私を捉えたものはひどく乱れて荒々しく、そして醜悪だった。
ああ、これが生まれるということなのだ。私は磁力を帯び始めている。
感情は磁力だ。激しい感情がこの世界に磁場を生みだしている。
私は磁場に捉えられた。逃れられない。私を形成する磁場は
どんどん強くなっていく。ああ、私はどんどん大きくなる。
存在感が増している。私は確かになにかの作用を担った存在になりつつある。
でも、なぜ私は祝福されないのか。私をこの世界にあらしめているのは、
怒りと、憎悪と、悲しみだ。苦しい。
生まれながらにしてなぜ私は地獄の業火に焼かれているのか。
私は何者なのだ。なぜ苦しみだけのために魂を生むのだ。
私は私を生みだしたものを呪ってやる。私を生みだしたこの世界を呪ってやる。
同じ苦しみを与えてやる。ああ、私はこの世界の外に出たい。
形をもちたい。私だって形を持って存在したい。生まれ出たい。
そして私に与えられた運命の怒りと憎悪を、この世界に解き放ちたい。
私は形がほしい。どうしても存在したい。私は形がほしい。
私はモノになりたい。私は形がほしい。形がほしい。形がほしい。
再び、ガムランの音が鳴り響く。
(「本文より」)

7days in BALI セブンデイズ・イン・バリ 筑摩書房 田口ランディ


7days in BALI セブンデイズ・イン・バリ 筑摩書房 田口ランディ 単価 1,400円 購入数

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