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海はあなたの道
PHP研究所
森まゆみ
ISBN4569627463
越境のKOREAN/JAPANESE
心をとどめたところこそ、ほんとうの故郷である!!
国というものにとらわれて何になるのだろう。
曾田嘉伊智も、田内千鶴子も金子文子も、
みな国境という見えない線をものともせず、
自らの信ずるところに従い越境し横行した人びとではなかったか。
これは、2002年3月の10日間ほどの旅の記録である。
2002年は不思議な年だった。旅ののち、六月までの前半は
ワールドーカップで日韓(韓日)友好が盛り上げられ、後半、
北朝鮮=朝鮮民主主義人民共和国(ああ何度この長たらしい
国名をアナウンサーは繰り返したことか)の拉致問題ばかりが
とりあげられ、マスコミはかって自分の国のしたことを忘れ、
アブノーマルさばかりを騒ぎ立てた。
そしてテロ対策、有事立法、イージス艦護衛、どうかこの本が
出るまでにアメリカのイラク攻撃が始まってしませんように。
短い旅で見聞き出来たことは限りがある。
しかしこの日程の中でわたしたちは異常に働き、よく食べよく働いた。
韓国の人びとはぜんたい親切で協力的であった。
それは韓国人2人日本人3人というグループのせいだったかもしれない。
まちろん誰に話を聞くか、は重要なことである。役所の紹介だと
(日本人でもそうだが)、共同体の長や有力者、行政と仲の良い人を
紹介されがちである。できるだけ普通の人と町で出会い、話を聞くことにした。
わたしは戦争を知らず、日本の植民地支配の時代に生きていない。
だからそのこと自体に責任はないが、親たちの世代が責任を取らずに死ぬのなら、
当然それはわたしたちに引きつがれるべき責務であろうと思う。
ワールドカップでは、「日韓新時代」新しい世代間の交流ばかりが
クローズアップされたが、新しい交流とは過去をいたずらに水に流すのではなく、
かつての関係を踏まえ考えつくることによってしか、確かにはつくり上げられないであろう。
「過去に目をとざすものは、現在にも盲目である」というヴァイツゼッカーの言葉を
思い起こさないわけにはいかない。
しかしわたしたちの世代は、過度の加害・被害意識やそれにあって
立ちすくむようなこわばりもなく、よりやわらかいまなざしで
お互い過去と向きあえるのではないかとも思う。
(あとがきより)
海はあなたの道 PHP研究所 森まゆみ
1600円(税別) |
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