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梅原猛の授業 仏教
朝日新聞社
梅原猛
やさしく語る仏教の「いちばん大切なこと」
「この本は中・高校生、お父さん、お母さん、熟年世代に読んでほしいのです」
梅原猛
仏になりたい。
なれないけど仏になりたいという気持ちを、
ずっと持ち続けることが仏教です。
私はここで、これから皆さんに宗教、とりわけ仏教の話をしたいと思っています。
この宗教の授業は、私から学較にお願いしたんです。租は数年前から、
小学校か中学校で授業をしたいと思っていました。どうしてかと言いますと、
どうも小学生、中学生で、もっとも重要なことが教えられていない。
それはなにかというと、道徳といいうことです。
道徳とは、人間はどう生きたらよいか、ということです。
それが日本の教育では教えられてないんです。
小学校で、道徳教育の時間はあるけれども、たいてい形だけでして、
実質的に道徳の教育がない。算数をしたり国語をしたり、
そういうことも大事ですけれども、人間がどう生さたらよいか、なにをしたらよいか、
なにをしてはいけないか、そういうことが学校教育で教えられてないんです。
これは日本の教育の大さな欠陥です。
昔はちゃんと教えられていました。修身という科目がありまして、
人間はどうやって生きたらよいかを教えられた。
けれども、戦前の修身は他律的な道徳でした。他律というのは、
人からしばられている道徳で、天皇陛下に忠義をつくして、親に孝行せよ。
そういう外からの道徳が、戦前の学校ではずっと教えられてきた。
しかし戦後になって、修身教育をしてはいけないというマッカーサー指針が出て、
修身教育がなくなった。他律的道徳がなくなったあとには、
自律的な道徳が教えられなくちゃいけなかったんです。
それがまったくない。人間どうやって生きたらよいか、なにをすればよいか、
なにをしたらいけないかが教えられてないんです。
最近、ちょうど皆さんの年ごろの子どもたちの起こした犯罪事件が
テレビや新聞をにぎわせています。そういう人たちは、かわいそうです。
どうやって生きたらよいかを教えられてないんですね。
政治家やお役人にも、賄賂をもらつたり公金をごまかしたりして、人間として、
よくないことをしている人がある。そういう人たちも私は気の毒だと思う。
そういう人たちも、人間がどのように生きるべさかが教えられなかった。
自律的な道徳というものがなくてはいけないんです。人はただ生さているだけでなく、
人の道というものがあるんです。してはいけないことはあるんだよ。
すべきことはあるんだよ。
そういう事が、ちゃんと教えられていないのが、
いまの日本の教育の大きな欠陥です。
(「なぜ宗教が必要なのだろうか」より)
1300円(税別)
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