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六本木の赤ひげ
集英社
飯島一孝
ISBN408775314X
こんな人物が東京の空の下にいたとは!!
この異邦人医師の人生は賢者の玉手箱言おうか。
現代史を映す興味深いエピソードが次々に
飛び出すので、最後まで一気に読んでしまった。
(柳田邦男)
若者や外国人が集まる東京の繁華街、六本木。待ち合わせの
メッカである六本木交差点から東京タワーに向かって歩くと、
飯倉片町交差点に出る。この一角に、うっそうと茂った樹木
に隠れるようにして洋館造りの建物がある。
ここが目指す「インターナショナル・クリニック」である。
取材のため、このクリニックを始めて訪れたのは夕方の
五時ごろだったが、待合室には数人の外国人がいた。
外国人が三々五々、看護婦に促されて奥の診察室に消えて
しばらくしてから、ようやく名前を呼ばれた。診察室に入ると、
そこには白髪で長身の老医師がニコニコしながら待っていた。
このクリニックの院長、エフゲーニー・ニコラエビッチ・アクショーノフだった。
アクショーノフは第三十二回吉川英治文学賞を受賞した。
受賞理由には、長年にわたり、人種・宗教・階層を問わず
患者の治療に尽力したことがあげられている。
外国人の医師で、こうした賞を受賞するのは極めて異例のことである。
このとき、計四人が受賞したが、選考委員の一人、草柳大蔵さんは
選評の中で「アクショーノフ氏には『医は仁』という原点を再認識した」と語っていた。
半世紀にわたって外国人を診察し、貧しい外国人には無料で
診察・治療したことが高く評価されたのである。
お金持ちからは治療費をしっかり受け取り、貧しい人には安くしたり、無料で診察している。
そんなところが山本周五郎の小説『赤ひげ診療譚』に出てくる「赤ひげ」に似ている。
貧しい人からカネをとらないことにしたのは、自分自身が旧満州からやって来た留学生であり、
苦学はながら医師国家試験に合格した体験があるからだろう。
日本の大学で学び、医師になれたことへの恩返しの気持ちもあるに違いない。
(本書プロローグより)
目次
第一部 有名人から貧しい人まで
マイケル・ジャクソン
マドンナ
ジョン・ウェイン
シラク仏大統領
フォード元大統領他
第二部 クリニックの日々
飛び回る院長
治療を最優先に
患者は一〇〇カ国から
患者の宗教・文化の違い
支払い能力に応じて
第三部 六十年ぶりの里帰り
生家をさがして
牧場が大油田に他
第四部 冷戦の狭間で
第五部 困難を乗り越えて
第六部 交友紳士録
六本木の赤ひげ 集英社 飯島一孝
1500円(税別) |
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