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陰摩羅鬼の瑕
講談社
京極夏彦
ISBN4061822934
凄い!京極小説。
あの「夏」の衝撃が甦る。
未経験の京極ワールド。
白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」は、主の五度目の婚礼を控えていた。
過去の花嫁は何者かの手によって悉く初夜に命を奪われているという。
花嫁を守るよう依頼された探偵・榎木津礼二郎は、小説家・関口巽と館を訪れる。
ただ困惑する小説家をよそに、館の住人たちの前で探偵は叫んだ。
おお、そこに人殺しがいる。
【陰摩羅鬼】
蔵経の中に
初めて新たなる屍の気変じて
陰摩羅鬼となると云へり
そのかたち鶴の如くして
色くろく目の光ともしびのごとく
羽をふるひて鳴声たかしと
C尊録にあり
「貴方にとって」
伯爵は私を観た。
そして問う。
「貴方にとって生きて居ることと云うのはどのような意味を持つのです−」
またその問いだ。
この人は何度同じことを問うのだろう。
娯しい時も、哀しい時も。
憤った時も醒めた時も。
この人は同じことを私に問う。
出会ってまだ幾日と経っていないと云うのに。
嬉しいような哀しいような、そして困ったような、
どこか縋るような悩ましげで淋しげな貌で。
その顔はまた、私を蔑むようでもあり、嘲笑うようでもあり、
憎むようでもあったのだけれど。
その顔で彼は私に尋ねる。
(本文より)
陰摩羅鬼の瑕 講談社 京極夏彦
1500円(税別)
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