西の魔女が死んだ 小学館 梨木香歩  

西の魔女が死んだ
小学館
梨木香歩
ISBN4092896107

第44回小学館文学賞。
不登校の少女の癒されていく心を、清々しく描いた話題作!!

「西の魔女」とは、中学生の少女まいの祖母のこと。
学校へ行けないまいは、祖母のもとで「魔女修行」をすることに。
祖母のいう「魔女修行」とは、何でも自分できめるということだった。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、
後ろめたく思う必要はありませんよ。
サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。
シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、
誰がシロクマを責めますか」
“生きる力”を与えてくれる、癒しの児童文学、誕生。

西の魔女が死んだ。四時間目の理科の授業が始まろうとしているときだった。
まいは事務のおねえさんに呼ばれ、すぐお母さんが迎えに来るから、
帰る準備をして校門のところで待っているようにと言われた。
何かが起こったのだ。
まいは、決まりきった退屈な日常が突然ドラマティックに変わるときの、
不安と期待がないまぜになったような、要するにシリアスにワクワクという気分で、
言われたとおり校門のところでママを待った。
ほどなくダークグリーンのミニを運転してママがやってきた。
英国人と日本人との混血であるママは、黒に近く黒よりもソフトな印象を
与える髪と瞳をしている。まいはママの目が好きだ。
でも今日は、その瞳はひどく疲れて生気がなく、顔も青ざめている。
ママは車を止めると、しぐさで乗ってと言った。
まいは緊張して急いで乗り込み、ドアをしめた。車はすぐ発信した。
「何があったの?」
と、まいはおそるおそる聞いた。ママは深くためいきをついた。
「魔女が−−倒れた。もうだめみたい」
突然、まいの回りの世界から音と色が消えた。
耳の奥でジンジンと血液の流れる音がした、ように思った。
失った音と色は、それからしばらくして徐々に戻ったけれど、
決して元のようではなかった。
二度と再び、まいの世界が元に戻ることはなかった。
「まだ・・・・」
生きてるの、と聞こうとして、まいは思わず口をつぐんだ。
そして大きく息を吐いてから、
「話ができるの?」
と聞いた。
(本文より)

西の魔女が死んだ 小学館 梨木香歩

1170円(税別)



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