熱病フットボール 文藝春秋 金子達仁


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  熱病フットボール
文藝春秋
金子達仁

そこにいるのは神か、魔物か。僕は何かに取り憑かれてしまった。
W杯への最後の切符を賭けた戦いを巡る旅。

 一瞬にして、イランは絶体絶命の危機に追い込まれた。
確かにPKによる失点は痛かったが、それでも、
第2戦が12万人収容とも13万人収容とも言われるテヘランの
アザディ・スタジアムで行なわれることを考えれば、1点は十分に
挽回可能な点差だった。だが、2点を失ったとなると、話は変わってくる。
極東へのチケットを手にするためには、テヘランで3点を
取らなければならない。3点を取りに行くということは、当然、
守備のリスクが極めて大きなものになることを意味する。
そして、1点でも奪われてしまうと、アウェーゴール2倍のルールが
重くのしかかってくる。テヘランでの戦いを少しでも楽なものにするために、
イランは攻めに転じなければならなかった。1点さえ返しておけば、
第2戦は1−0でOKということになる。彼らは8−1−1システムを
かなぐり捨て、本来の3−5−2へとシフトした。
試合の流れは一変した。前半のイランは、アイルランドにとって
やりにくい相手だった。しかし、2点目を奪われてからのイランは、
アイルランドが最も得意とするタイプの相手となった・・・・・・・はずだったし、
事実、彼らのチャンスは前半とは比べものにならないほど増えた。
そこまでは、2−0となった段階で予想した通りの展開だった。
予想外だったのは、アイルランド以上に、
イランがチャンスをつかんだことである。
原因の一つは、後半に入るとガックリと動きの落ちてしまった
ロイ・キーンにあった。いつもであれば彼のところで
止まる相手の攻撃が、この日はほとんどノーチェックのまま
ペナルティエリア近辺までなだれ込んできてしまったからである。
(「アップタウン・ガール」より)

目次
第1章◎熱病の季節 マドリッド
第2章◎アップタウン・ガール ダブリン
第3章◎復讐の叫び テヘラン
第4章◎3度目のプレイオフ
第5章◎ファイナル・チケット モンテビデオ
激闘を勝ち抜いてきた彼らに日本代表は勝てるのか?


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