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なにも願わない手を合わせる
東京書籍
藤原新也
ISBN4487798493
死をいかに受け入れるか
『メメント・モリ』から二十年。
これまであらゆる祈りを拒否
し続けてきた筆者が愛する者の
死をへてたどりついたもの。
それは
なにも願わない
ただ、手を合わせる。
幼女はそれから手を合わせ、ひょこりとお辞儀をした。
「ああ、よくできたなあ。おりこうさん」母親はそう言って幼い娘を誉めた。
私にはその時ひらめくものがあった。
この幼女の無心にして、なお全感覚で目の前の世界を感じて
いるであろう祈りに、一体いかなる大人の祈りが対抗しうるだろうか。
そう思ったのだ。
この幼女の祈りに比べれば大人の御利益を求める祈りなど卑俗でしかない・・・・。
わたしはこの時「祈り」と「願い」とをセットとして考える祈りというもののあり方を
捨てることを幼女の姿から教わったのである。
いやそれはかって私自身が幼いころすでに体現していた祈りの姿なのである。
なにも願わない。
そしてただ無心に手を合わせる。
(本文より)
目次
顔施・童眼・老い歌・なにも願わない手を合わせる・
安らかなり・古い時計・犬影・色即是空・死蝶・
菜の花電車・人生のオウンゴール・水に還る・春の猫・
眼差しの聖杯・富士をみた人・垂乳根・東京物語・刃・
無音・夢の技法・営みの花・春花考
なにも願わない手を合わせる 東京書籍 藤原新也
1800円(税別)
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