巨眼の男 西郷隆盛 一 新潮社 津本陽   巨眼の男
西郷隆盛

新潮社
津本陽
ISBN4103297077

この男の途方もないスケールが日本を甦らせた!
幕府の終焉と明治の新生を描く著者の集大成!
新旧の資料から巨人の肉声を
伝え、その実像に迫る歴史大作。

時代がこの男を必要としていた。
西郷吉之助は国を追われ、南海の孤島を転々としていた。
内外の情勢に通じ、近代化に邁進した薩摩藩主、島津斉彬。
心酔する主君の非業の死により失脚し、塗炭の苦しみを味わう。
しかし、天下の激震はこの男を放ってはおかなかった。

第1部 愛加那(一)
明るい景色であった。
晴れた昼さがりであるので、陸と海が陽をうけ、紺碧と濃緑の
色あいを冴えわたらせているが、明るすぎて森閑とした、
さびしさを誘われる澄みきった視界である。
池のように静かな入江の海面に魚が跳ね、岸辺には大屋根の
ように枝葉をひろげ、気根を垂らしたガジュマルの巨木、
長くするどい葉を茂らせ、蛸の足のように気根をのばした
アダンの群落をつらねる。
小高い丘は太い蘇鉄に覆われ、草葺き屋根の民家は、目に
しみるような灰白のサンゴの塀をつらねる。
垣根の紅白の花があざやかな色どりであった。
安政六年(一八五九)一月十二日午の刻(正午)頃、薩摩藩
の砂糖積船福徳丸が、本帆と弥帆を下ろし、曳船に引かれ、
奄美大島阿丹崎の船着場に近づいてゆく。
阿丹村は竜郷湊の入り口である。水深の深い湊は交易船の
出入りする、大島では繁華なところである。
竜郷村には津町横目(港湾警察)の番所があり、入港した
船舶、積荷、渡来人を検める役目をおこなう。
(本文より)

目次
第1部
愛加那(一・二・三)/遠雷/日照雨/別れ道/へきれき/
暗雲去来/死中の生/永楽部の花/回り舞台/猛禽の棲みか/
蛤御門の戦/激浪にむかう

巨眼の男 西郷隆盛 一 新潮社 津本陽

1600円(税別)

■人文・思想・哲学・歴史
巨眼の男 西郷隆盛 一 新潮社 津本陽 単価 1,600円 購入数

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