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ひとみごちて
「阿修羅のごとく」
角川書店
黒木瞳
ISBN4048838539
今、立ちどまって、
振りむいてみたら、
女性は柳のよう。
自分の原点である福岡県での野性味あふれる子供時代、
ブランドにはまった二十代、そして自分らしくあることを模索する今。
黒木瞳が「黒木瞳」をさまざまな角度から語った最新フォト&エッセイ。
思い出の愛蔵品や、十八番のチキンカリーの
料理風景まで披露した、丸ごと一冊、ひとみごちて。
《マイカマって?》
私は、田舎者です。
福岡県東部の水も空気もおいしいところで十八歳まで走り回って育ちました。
牛や馬もいましたから、牛のまかないの手伝いもよくしました。
子供の頃は田んぼがありましたから、田植えや稲刈りもしていました。
自分が刈る列を決めて田んぼに入って、
腰をかがめてトットットットッ・・・・・と刈っていくんですけど、
大人と同じカマだと大きすぎるので、私、マイカマを持っていたんですよ。
カマって稲刈り鎌のことです。刃がブーメランのようになっていて、
私の刈りやすい大きさに作ってもらっていたんです。
マイカマを持っている人は、まず女優にはいないだろうなぁ。
田植えした苗は、夏になると青々してきて穂になって、お米になる。
それをマイカマで収穫したら脱穀機に入れます。
藁は積んで燃やしたり、牛に食べさせたり。それが私の子供時代。
宝塚歌劇団を退団して、映画やテレビの仕事をするようになった頃、
五木寛之先生に、「普通、人は自分が田舎者だということを隠すものだに」
と言われたことがあります。先生がおっしゃるには、
「あなたみたいに、花園である宝塚でお姫さまを演じ、素顔は
詩を書きピアノを弾く人だと聞けば、人はどこぞの令嬢かと思う。
そのあなたが自分は田舎者だ、と言うこと自体がおもしろいし、
そのがあなたのいいところでもあるんじゃないの?」と。
当時も今も、自分はただの田舎者だいとうたくましさの自負が、
守るべき大切なものして確かに私の中にあるのかな。
私を形作ってきたベースは、故郷にあると信じていますし、ね。
(本文より)
目次
マイカマって?/母をたずねて/トラウマ/ファッションは着せ替え人形から/
父が作ってくれた竹刀/喪の儀式/変わらない朝/悲しみスポット/
大人になりたい時代/ペアルック/ムンクとの時代/ジュモーに恋焦がれて/
結婚は最良の選択ではない?/巻子という女性/私の十八番/娘の誕生/
娘の美意識/三匹の猫他
ひとみごちて 「阿修羅のごとく」 角川書店 黒木瞳
1700円(税別)
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