ハリセンボンの逆襲
文春文庫
椎名誠
ISBN 4167334240
全身トゲ丸浮上作戦を甘く見てはいけない!
野球もせっかくのオリンピックの舞台なんだからもっと強烈、過激なものにしてほしい。
たとえば球を鋼鉄棘付にしてこれを肉体改造した
マッチョの極みみたいな選手が鋼鉄の鬼の金棒みたいなので
思い切り打ったりする。
球が体に当たるとまあ死ぬから鎧のような防具をつける。
死球とか併殺とか生還なんて言葉がそのとおりになる。
こわいだろうなあ。
未来の世界大会というとすぐに頭に浮かぶのは機械を使った闘争競技だ。
野蛮な例でいえばブルドーザーなんてのがいい。
あの前面についているブレード(排土板)を高くふりあげて
対戦する2台が激突する。
どうもこのイメージ、子供の頃熱中していたカブトムシやクワガタの
勝負そのまんまだけど、まあいいのだ。
正面からではなく側面を狙ったほうが破壊力が大きいだろうから
最初はそのためのスピードと操縦性の勝負になる。
倒れたりキャタピラなどが切れて止まってしまったほうが負け。
ゼネコンの底辺が広い日本などは事前の談合なんかがあって姑息に強そうだ。
ずっと昔、シベリアのネリュングリという露天炭鉱で180トンのトラックを見たことがある。
タイヤなど直径3メートルだ。タイヤ交換する時のジャッキなんかも物凄い。
こういうでっかいのが巨大なブレードをつけてトラックの相撲のように
必死で押しあい突つきまくったら凄いだろうな、とその時思った。
ソ連製、アメリカ製(250トンもある)、日本製とあって
少しずつ大きさや性能が違っていたからとりあえず三国対抗の巴戦はできる。
巨大なスタジアムでやったらかなりのビッグイベントになるんではないだろうか。
と思っていたら、イギリスに住む知人が「あんたがいかにも好きそうだから」と
VTRを送ってきてくれた。今人気のテレビ番組らしい。
平均バスタブぐらいの大きさの、それぞれ形と性能の違う機関的機械が、
人間のコントロールによって激しく戦うというスタジアム競技の実況中継番組だった。
日本だとこれに似たものでNHKの学生の作ったロボットによるタマ入れ作業の
技術競争などという正しい番組がある。
しかしイギリスのそれはモロにバトル一色で、やっつけられた機械は
燃やされて地下に落とされる。
ハリウッドあたりのB級SF映画のような雰囲気で実に未来っぽくて面白かった。
(「2020年オリンピック」より)
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